法定刑とは

法定刑とは、刑法の「第二編 罰」の第一章~第四十章により定められている刑罰のことをいいます。

つまり、法律によって禁じられているそれぞれの罪に対して定められている「刑の範囲」のことです。その際の刑の範囲は、有期の場合は下限1ヶ月~上限20年の間で定められています。

裁判官は、犯罪を犯し起訴された者(被告人)の裁判において、被告人を有罪と認めた場合、どのような刑を言い渡すか決めなければなりません。

その際、各それぞれの犯罪においてどのような刑罰を科すことができるのか、前もって法律で規定したものを「法定刑」といいます。

例えば、万引きなどの窃盗罪で審理されている被告人に対し「死刑」を言い渡すのは一般的に考えた場合あまりに刑が重すぎますし、強盗殺人罪などの凶悪犯罪で審理されている被告人に対し「懲役6ヶ月」などを言い渡すのは一般的に考えた場合あまりに刑が軽すぎます。

窃盗罪は法定刑で「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」と定められており、強盗殺人罪の場合は「死刑または無期懲役」と定められていますが、裁判官は原則としてこの法定刑の範囲内で、刑を決めることになるのです。

ただし、あくまで法定刑は主となる基準のようなものであるため、実際に裁判官が被告人に下すべき刑を考える際には、法定刑で定められた刑の範囲に刑法総則を適用して加重減軽などが行われます。

よって、強盗殺人罪でも死刑または無期懲役が確定するというわけではなく、場合により減軽され有期懲役となることもあります。

ちなみに、被告人に科す刑罰を決め、判決を言い渡されるまでの過程において、法定刑のほか、処断刑および宣告刑というものが関わってきます。

処断刑とは、法定刑に刑法総則を適用して法律上または裁判上の加重減軽を加えたもの。宣告刑とは、処断刑の範囲内において裁判官が自身の判断で決定し、裁判で現実に被告人へ言い渡す最終的な刑を指します。

そして、以上のように裁判官が宣告刑を決定するまでの作業を、量刑といいます。

量刑、処断刑、宣告刑に関する詳細な説明は以下の関連ページを参照ください。

サブコンテンツ

このページの先頭へ